Match Review 「ポステコグルー体制4年目の成果。ディフェンスラインの意思統一によるゲームの支配。」2021 J1 #04 横浜Fマリノス[YFM] vs 浦和レッズ[URW]

Jリーグにおいては、中々長期政権を気づけないチームが多いが、4年目を迎えたポステコグルー体制の横浜FMがチームとしての強さを、就任したてのリカルド・ロドリゲス体制の浦和に見せつけた試合。いくつかの特徴的なシーンと共に振り返る。 明治安田生命J1リーグ 第4節 2021年3月14日(日)13:03KO日産スタジアム Lineup ■横浜FM(アンジェ ポステコグルー):4231■浦和(リカルド・ロドリゲス):4231 前半 前線からプレスに行く横浜FM 浦和は、キーバーからのビルドアップ時に、ロングフィードを蹴らずに、DFラインからしっかり組み立てる。横浜FMはそのビルドアップに対して、4枚でプレスにいく。浦和はGKいれれば、5対4で数的優位にたてるが、横浜FMの7:エウベルが、うまくパスコースを消しながらプレスすることで、浦和の1:西川はフィードを蹴らざるをえない状況に。このシーンではフィードされたボールを中盤で横浜FMが拾うことに成功。浦和としては、ビルドアップの起点と、中盤が若干距離が遠いようにも感じる。この後も度々、ビルドアップを狙われ、横浜FMにショートカウンターを許す場面が目立つ前半。飲水タイム明けの最初のプレーでは、一転ロングフィードを蹴るも結果的に、自陣ゴール前に押し込まれる形となり、2失点目を喫してしまう。2得点目以降の28分ごろから、プレスをGKまでかけるのではなく、中盤(浦和18:小泉など)とし、少しプレスのラインを下げている。 浦和の541守備 浦和は、守備時に541で自陣ゴール前をしっかり固めるかたち。横浜FMもサイドを広く使いながら崩しを試みるが、インテンシティの高い序盤では守備を崩せず。 前半まとめ リスクを負って、ハイプレスを仕掛た横浜FMに対して、浦和はそのプレスの網をかいくぐることができず、2失点。浦和は自陣深くの541の守備時においては横浜FMにチャンスを与えなかったが、一方でボール奪った際に相手ゴールまでの距離が遠いこともあり、好機をつくることができなかった。横浜FMの前線の選手の運動量が目立つ前半といえる。浦和は得点を奪うために、どのような工夫をしてくるのか?というところが後半の見どころ。 後半 高いラインでのプレスを継続する横浜FM 横浜FMは前半同様、後半開始早々高いラインからプレスを敢行。浦和は引き続きプレスに苦しむ展開。 442で攻撃の形を変更する浦和 後半メンバを交代し、442で攻める形に変更した浦和。ボールロスト時のハイプレスへの移行がスムーズになる効果も感じられる。 ハイプレスを仕掛ける浦和 浦和は後半は、引いて守るのではなく、前線高い位置からのハイプレスを敢行。しかし、最初のプレスは横浜FMにうまくかわされ、そのまま危険なシュートシーンまで許してしまった。その影響か、2回目以降のプレスはプレスに行く選手とリトリートする選手、スペースを埋めようとする選手、というように意識がずれてしまっているようにもみえた。カメラの画角で捉えていないので不明だが、下図の場面では、浦和:19金子の詰めのタイミングが遅いように写ったが、横浜FMの7:エウベルや10:マルコス・ジュニオールのポジショニングが絶妙で出ていけなかった可能性もある。 後半飲水タイム明け 両チームとも選手を交代し、下図のような布陣に。浦和は再び4231のようなかたちに戻す。浦和18:小泉がサリーダの形でCBの位置に降りてビルドアップするなどなんとか横浜FMのプレスへの対応を苦心するが、中々実を結ばない展開。 試合の分かれ目 最後まで横浜FMのハイプレスへの対策ができなかった浦和。前半に横浜FMの5:ティーラトンが負傷退場するというアクシデントも、むしろ「それでも揺るがなかった」チームコンセプトの浸透度の高さが際立った。浦和も後半、ハイプレスをしかけるシーンもあったが、ボールの追い方、タイミング、場所といったところのチームとしての意思統一がまだできていないような印象もあった。一方、横浜FMでは新加入の7:エウベルがゴールシーンにこそ直接絡まないが、オフ・ザ・ボールでのダイアゴナルランであったり、パスコースを消しながらプレスにいくところなど、はやくもチームに適用できるクオリティの高い選手であることを印象づけた。浦和は敗戦とはなったが、特に後半はいくつか状況打開のためにチャレンジをするなど、チームとしてこれから引き出しを増やしていく局面なのだろう。 横浜FM 浦和3 – 0 3′前田 大然26′前田 大然55′小池 龍太 https://www.jleague.jp/match/j1/2021/031401/live/

Match Review 「VAR判定明けのプレー再開の選択肢と、リカルド・ロドリゲス監督の修正力」2021 J1 #03 浦和レッズ[URW] vs 横浜FC[YFC]

VARの判定に一喜一憂した一戦だが、試合を分けたのは、VARの判定そのものよりも、VARチェックによる中断明けの試合への戻り方だったといえる。VAR導入された今シーズンも3戦目だが、こういった経験値を積んでいくことも今シーズンの結果を左右するのではないだろうか。特徴的だったシーンをいくつか振り返ってみたい。 Lineup 浦和レッズ(リカルド・ロドリゲス):4231横浜FC(下平隆弘):442 横浜FC:ボール保持時 浦和は442で守備陣形を形成。中盤から後ろを2ラインで固め、杉本、明本のツートップがボールにプレスをかけるかたち。 浦和のボールへのプレスは低い位置から開始するため、横浜FCは比較的ラクにハーフウェイあたりまではボールを運ぶことができる。 横浜FCは中盤の中村が最終ラインに落ちてきて、ビルドアップをする、いわゆるサリーダのかたち。最終ライン3人+安永に対して、浦和のツートップという構図なので、自陣では楽にボールがもてる 横浜FCは両サイドハーフの小川、松尾が内に絞ることで、サイドバックが活用できるスペースをつくりだす。アタッキングサードでは浦和のプレスが強いため、最終ラインの中村からのロングフィードでサイドバックにつけるかたちでチャンスを生み出す。 浦和:ボール保持時 横浜FCは、中盤6人でコンパクト布陣し、中央を固めるかたちが目立つ。また、プレスは高い位置から開始。 浦和は、横浜FCのハイプレスに苦しみ、攻めに転じる時間が少ない。うまくサイドのスペースを突くも、そのまま、サイドに追いやられ窮屈な展開に。 後半に入り、浦和は横浜FCが固める中央のスペースに入り込む形をつくる。杉本が落ちてきてポストプレーするなどで、効果的に横浜FCを中央によせつつ、サイドのスペースを活用していくかたち。これが奏功し、ボール保持率が前後半で真逆の展開に。 試合後のインタビューで横浜FC下平監督が「浦和さんが後半からシステム変えてきた」との発言をしていたが、このあたりだろうか。 試合の分かれ目 VAR明けの試合への入り 9割がた横浜FCのペースで試合が進んでいたはずだが、ペナルティエリアの角ギリギリのところでのPK献上からの失点。押しながら失点してしまったショックなのか、続けざまにピンチを迎え、今度はVARで一度は救われるものの、慌てたディフェンスで再度PK献上。VAR明けに落ち着いて再度試合に入っていく工夫も必要かもしれない。 2失点目の場面。VARで浦和のゴールが取り消しになった後の自陣からのFK。ここに浦和の2枚が高い位置で、ショートパスをケア。仕方ない感じで前線にロングフィードを蹴り込むも、そこから一気にカウンターをくらってしまう。少し同様があったような場面なので、一旦自分たちでボールを持ちながら落ち着く、というアルゼンチン代表のような試合運びの選択も必要だったように思える。 印象的だったのは、浦和のGK、DF陣に加え、監督が常に声をだしていたところ。マイクの関係などもありそうだが、横浜FC側で「集中きらすな!」といったような声はあまり印象にのこらなかった。 後半に向けてのシステムの立て直し 前半が終わった段階では、失点こそしているものの、横浜FCが終始惜しいシーンを作り出していたため、反撃の狼煙を上げられれば、一気に同点、逆転もありうるような展開 リードしながらも後半開始のタイミングで選手交代した、リカルド・ロドリゲス監督の修正力が光ったといえる。