[Match Review] 2021/6/11 日本[JPN] vs セルビア[SRB]

2022年カタールW杯アジア二次予選の連戦のさなかに開催されたセルビア代表との親善マッチ。両チームとも状況は以下のように異なるものの、「2021年9月から始まる、2022年カタールW杯最終予選に向けた準備」という位置づけは似ています。コロナ対策での来日ということもあり、セルビアのコンディションがそこまで高くない印象でしたが、それでもW杯出場経験のあるヨーロッパのチームらしく、個々数試合の中でも苦戦した試合といえそうです。いくつかのポイントと共に試合を振り返ってみます。 日本代表 すでに2次予選を決めている オリンピック代表に有力選手を割いている セルビア代表 2020年11月にEuro2020(2021年6月開催)の予選敗退となった Euro2020予選でのチーム得点王(ミリンコビッチサビッチ)は帯同していない Lineup 日本は前戦からメンバーを大幅に入れ替えるも、古橋、南野は引き続きスタメンに名を連ねます。このあたり、少なくとも攻撃陣としてはこの2人を中心としたチーム作りを模索している様子が伺えます。フォーメーションもおなじみの4-2-3-1です。 前の試合でボランチで途中出場した谷口はセンターバックでスタメン出場となりました。このあたり、ボランチとしての働きがどのように評価されたうえでの起用なのかは気になります。いつの間にか激戦区となったボランチの面子の中では、高さに分がある谷口は、高身長ぞろいのセルビア相手などでのオプションとしてボランチ起用する形もみてみたかったところです。 前半 ボランチが最終ラインに落ちての組み立て 必ずしも定まった形でのビルドアップをしていたようではなかったのですが、ボランチの橋本が最終ラインにサリーダの形で降りてきて、両サイドバックを高い位置にもっていく形がいくつかみられました。ここは前回はセンターバック的なサイドバックの佐々木と、Theサイドバックの長友というキャラクターの違いからくる合理的な組み立てだと思います。 新たな試みのゼロトップ 大迫不在のなか、古橋をトップ起用した狙いでもある、いわゆる「ゼロトップ」の形も見えるようです。最前線の古橋は2列目の位置に下がり、3-2(守田、鎌田)-5のような形になります。 セルビアは守備時に5-3-2の形となり、奇しくもタジキスタンと同じ形になります。ゼロトップの利点でもある「アタッキングサードの有効活用」については、セルビアの最終ラインと中盤が程よい距離感を保っているため、日本はそこを活かすことができずにいます。 25分に、古橋がいい裏抜けをみせ、そこに谷口からいいフライスルーパスが通ります。森保監督からも「ブラボー」が飛びますが、シュートまでは持っていくことができません。 日本が5バックを苦手としているというスカウティングがあるのか不明ですが、いずれにせよ5バック対策は1つの課題になりそうです。 狙われる日本の両サイド 日本に押し込まれる時間帯が続くセルビアですが、攻撃時には高さを活かすコンセプトを見せます。中盤の両サイドハーフが徐々に高い位置を取り始め、両ウィングと共に、日本のサイドバックを混乱させようとする動きを見せます。 前半まとめ 日本はPA付近まではボールを運べますが、フィニッシュの形が見えてきません。センタリングを上げても、高さで勝てる気もしないし、低いクロスを狙おうにも、5バックに加え、ディフェンスの足も長いので引っかかる、というかっこう。少し遠目から狙っても良さそうですが、セルビアのバックラインは引きすぎず、数回あったミドルシュートもブロックされてしまい手を焼きます。 後半 日本代表 オナイウ、川辺投入 後半開始から、メンバーを交代します。今回のメンバーでは唯一の純粋なセンターフォワードといえるオナイウが結果的に流れを変えることになります。 47分のゴールシーンとなるコーナーの獲得シーンでは、オナイウがサイドに流れつつ、深さをとり溜めをつくり、室屋に預け、自身もゴール前に走り込む、というセンターフォワードらしい仕事が奏功します。前半にはなかった、相手のディフェンスラインを押し下げさせるような駆け引きが効果的でした。 更に深く守るセルビア 後半に入り、一気に運動量が落ちたセルビア。それでも、1失点でしのぎつつ、なんとかどこかで1点を返そうという姿勢からか、守備時にかなり極端に引いた布陣を敷きます。以下のように、ペナルティエリア内に8〜9人が密集しています。体格も大きい選手がそろっていることから、ここを崩すのは容易ではなさそうです。 とはいえ、セルビアもボール奪取位置が深すぎるため、これ以降効果的な攻撃をすることができなくなり、そのまま試合終了ということになりました。 まとめ 過密日程もあり、後半途中から、両チームともに運動量が落ちてしまったこともあり、前半の緊張感からすると物足りない感じで終わってしまいました。 現メンバーでは唯一の純粋なCFのオナイウの投入で流れを改善できた点は収穫だったと言えそうです。大迫選手が復帰したとしても、選手構成として、前線で体はれるタイプの選手を揃える重要性は高そうです。U24に目を向けてもそういったタイプの選手はあまりいないので、鈴木優馬選手とか、鈴木武蔵選手も含め、アジア三次予選に向けての選手選考も注目したいところです。 一方で、5バックには引き続き手を焼いている印象です。この6月の連戦の中で対策をすることは難しそうですが、コーチ・スタッフ陣が、戦術的な崩しの形を準備して9月からのアジア最終予選に望めるかが、ひとつ今後のポイントになりそうです。本戦は相手が守備を固める前に日本がリードを奪うことができましたが、相手にリードを奪われたあとに守備を固められる局面もきっと出てくると思います。 関連Review リソース https://www.jleague.jp/match/japan/2021/061101/live/#recap http://www.jfa.jp/samuraiblue/20210611/match_page.html#pankz

[Match Review]「結果的には快勝。新たな選手もフィットしている。が。」2021/6/7 日本[JPN] vs タジキスタン[TJK]

U24の親善試合と同時進行で開催された2022カタールワールドカップアジア2次予選タジキスタン戦。U24代表では格別の違いを見せたオーバーエイジ枠3人に加え、”代えのきかない”大迫を負傷で欠くA代表。すでに2次予選突破は決めていることもあり、代表経験の浅い選手を積極的に起用した本戦。試合後のインタビューで「ミスの多かった試合」と評価した森保監督の思惑なども頭の片隅におきつつ振り返っていきます。 Lineup 日本は4231、タジキスタンは433をベースとした試合の入りでした。オーバーエイジ枠で抜けた部分はJリーグ勢を当てはめることで競争を促しているようにも感じました。負傷の大迫の位置には浅野を入れ、今までの後半からのスピードを活かした切り札的な使われ方以外の可能性を見せられるか、というところが注目でしょうか。 ちなみに、試合後の森保監督のインタビューを要約すると、以下になるかと思います。 全体的に連携があわなかった 古橋は、前線のあらゆるポジションで使っていきたい デュエルでは日本が優位だった ボランチのポジショニングは改善する必要がある 前半 開始早々、古橋がプレス強度高く、相手の左サイドバックに仕事をさせない。タジキスタンはそれでも左サイドバックにボールを集め、そこからビルドアップする形をみせていたため、もしかしたらスカウティングとしてそういう情報が入っていたのかもしれません。だとすると、そこに対して強いプレスができる古橋を右サイドに置いたのは、代表戦ではあまり印象にない「戦術的にハメた」形といえそうです。 タジキスタンの守備ブロックに手を焼く日本代表 古橋を中心としたプレスもあり、前半は日本がボールを持つ局面が多くなります。それに対し、タジキスタンは532の布陣で迎え撃ちます。5バックでありながら、両サイドの大外は比較的空けていることから、中央にぎゅっと絞った形で中央を固めています。 日本代表はこのとき、赤い枠の中にボールを入れることができず、その外でボールを回す形になります。このあたり、アジア予選の同グループのモンゴルやミャンマーに比べ、非常に統率がとれている印象です。勝ち点差はありますが、グループ2位につけていることも納得できます。 カウンターに活路を見出す日本代表 日本はボール保持中は中々効果的な攻撃をしかけることができないのですが、一方で、ボール非保持時(タジキスタンの攻撃中)には、一つの活路を見出します。タジキスタンの攻撃時には最終ラインがかなり高く設定されていることもあり、タジキスタンの最終ラインとGKの間に広大なスペースを見出すことができます。この試合では、カウンター時に浅野、古橋といったスピードスターが、そのスペースへ裏抜けすることで、効果的な攻撃をしかけることができていました。 なお、前半30分くらいまでみたところでは、インタビューで出ていたような「連携」ミスはあまりない印象です。どちらかというと、個々の技術的な部分でのミスがいくつかあった程度かと思いました。 (提案)5バック対策 カウンターでは活路を見いだせていますが、タジキスタンが攻勢に出る場面もあまりなく、膠着状態が続きます。5バックへの対応がうまくできていない印象です。例えば、下の図の黄枠のように、2列目での数的優位を作るかたちはどうでしょうか?山根、佐々木が高い位置をとり、タジキスタンの両サイドバックをピン留め(黒枠)する形です。タジキスタンの3センターバックの1角がフォローに出たところを浅野が狙う、など。 タジキスタンが2トップで守るため、日本は2枚のセンターバック+左サイドバックの佐々木の3枚を残す形が多いのですが、そうすると、左サイドのワイドレーンを使う選手が少なく、タジキスタンの5バックを揺さぶることができていないのが、ブロックを崩せない一因では?と思ったりしました。 更にコンパクトな守備ブロックを作るタジキスタン 前半も30分を過ぎたあたりから、タジキスタンの守備ブロックが更に前後にコンパクトになっていきます。それまでは、2トップが日本のセンターバックをみていたところが、ボランチと対峙するような形になっています。そのため、日本は後ろに人数があぶれてしまい、更に手を焼くことになります。一度センターバックの中谷が、相手FWに対するプレスの流れから、前線に上がり、局面を変えるような動きをみせていました。 37分ごろ、ベンチの森保監督から「変化!変化!」という指示が聞こえてきました。無観客試合ならでは、ですが、選手からすると、「いや、変化つけようとしてるよ」って思わないですかね。「中谷、ボランチ追い越していけ」とか、具体的な指示を出してあげたほうが良い気がします。そのほうが、仮にその指示が裏目に出た場合でも、選手は罪悪感を感じることもなく、切り替えていけるような気がします。昨年からベンチの声を聞く機会も増え、いろんな監督の指示を耳にするようになりましたが、千差万別だなと改めて感じました。 前半まとめ 得点としては、前半終了間際に2点目をとった日本が順当にリードして折り返す展開でした。直前のU24の試合で遠藤や田中がみせたような、「お」と言わせる縦パスなどはあまりなかった印象でしたが、2点目のシーンは山根、古橋、南野がそれぞれ巧みな駆け引きで相手をはがし、最後は南野の技術の高さをみせるシュートで締めるというよい「連携」でとれたナイスゴールだったと思います。 後半 46分 坂元、鎌田投入 ここは坂元をみてみたい、というところでしょう。このポジションには、久保や堂安といったA代表でもレギュラークラスのU24選手がいてレギュラー奪取は簡単ではないとは思いますが、アピールしてもらいたいところです。 62分 小川投入 追加得点した日本ですが、「大迫、長友問題」の1角の左サイドバックを交代します。佐々木はオーバーラップするタイプではないため、攻撃的な小川の投入で日本の攻撃が活性化してきます。小川はワイドに広くポジションすることで中央を固めるタジキスタンに対して、深い位置でボールを保持することに成功します。下の図では、オーバーラップする小川の代わりに再襲来に下がった川辺から鎌田を経由し、小川に渡った場面です。この一連の流れのなかで、古橋が小川のポジションを確認しつつ内に絞ることで、小川のスペースをうまく生み出していた点も見逃せないです。 75分 守田、谷口投入 谷口はクラブでのセンターバックではなくボランチ起用。どんなプレーになるか楽しみにみていたが、思ったより全然よかった。センターバックが本職とは思えないほど積極的に前に上がり、周りとの連動でゲームメークできていた印象。昨年まで一緒にやっていた守田とのコンビというところもプラスに働いていたのでしょう。 オリンピック終わり、3次予選を見据えたときに、この山根、守田、谷口に加え、田中、旗手、三苫が合流する青写真も描いているのかもしれない。1強リーグの代表チームであれば、その1強チームをベースにチームづくりするのはセオリーでもあるので、これはこれで楽しみではあります。守田のように、いずれは海外に出ていく選手も多そうではありますが。 まとめ 森保監督のインタビューでのコメントを頭の片隅におきながら試合を振り返りましたが、個人的には「連携の完成度の低さ」や「ボランチのポジションの悪さ」はあまり気になりませんでした。それより、上述したように、相手の守備ブロックを崩せないときの「変化がつけられない」点が気になりました。タジキスタンがこの試合に向けていつもと違う戦術を用いたのかは不明ですが、アジア予選では、いわゆる「アナグマ」ディフェンスともいえる532や541で挑んでくる相手も少なくないはずです。それへの対策として、選手のアイデアに頼るのではなく、是非チーム戦術として取り組んでいただけることを期待したいと思います。 62分の小川の投入が、「戦術的な対策」に見えましたが、個人的にはもう少し早いタイミングで踏み切ってほしかったと思いました。 JFAの目標2030を念頭におくと、ロシアワールドカップでのベルギー代表のようなチームと互角の実力をつける必要があるはずで、代表チームのカラーから考えても、まずはチーム戦術として秀でる必要があるのではないかという思いがあります。結果的には快勝した試合ではありますが、厳しい言い方をすれば、アジアの中で、個人の能力や、相手のミスによって拾った勝利とも言えます。相手の出方によって、目まぐるしく戦術を駆使するような日本代表を見てみたいと思います。 関連Review リソース

[Match Review] 「オーバーエイジ枠選手によって、引き出されたチームとしてのポテンシャルと、それでも残る課題」 2021/6/5 日本U24[JPN] vs ガーナU24[GHA]

東京オリンピック本大会に向け、オーバーエイジ枠3人を加えた形での(実質的には)はじめての実戦となったU24日本代表対U24ガーナ代表の試合ですが、オーバーエイジ枠選手個々の能力が際立っていたのはもちろんのこと、オーバーエイジ選手のプレー選択がチーム全体の連動をスムーズにしているようでした。結果的には日本の大勝となった、この一戦を、選手交代の思惑などを推測しつつレビュー。 2021/6/5 国際親善試合 日本U24代表 vs ガーナU24代表 6 – 0 Lineup 日本は4231の形で、ガーナは前線の形がちょっとあいまいですが、442の形をベースとしているようでした。日本代表は、今季プレミアリーグを制したマンチェスター・ユナイテッドを彷彿とさせるライトブルーの100周年記念ユニフォームを着用しています。正直、テレビ越しだと色合い的に背番号が見づらいのですが、それでも迷彩柄のユニフォームより格段に視認性は高いですし、襟付きのユニフォームは素直にかっこいいと思いました。機能性としては襟がないほうがよいのでしょうけど、1999年当時のワクワク感も蘇ってくるようです。 前半 日本ボール保持時 右サイドバックのオーバーラップを活かした攻撃の組み立て 日本は、右サイドバックの酒井がかなり積極的にオーバーラップを仕掛けます。3月の代表戦での右サイドバックだった、菅原、原と大きく印象が異なる部分でした。どちらかというと、チーム戦術として決めているわけではなく、選手個々の判断にゆだねている部分がおおいチーム森保という印象なので、3月の代表戦でもどかしいと感じていた部分が解消されていると感じました。 右サイドハーフの堂安が内に絞って酒井のコースを開けたり、逆に中央の久保が右サイドによって酒井とのコンビネーションを図ったりと、いい感じの連動もできているようです。 遠藤、田中を経由した組み立て 右サイドバックのオーバーラップだけではなく、最後列からのビルドアップにおいては、センターハーフの遠藤、田中を経由して効果的な組み立てができていました。下記の場面に象徴されるように、例えば、吉田→遠藤→堂安といった具合に、パスを繋ぎますが、堂安に出る場面で、サイドに張っていた久保が相手の左サイドバックを引出し、堂安の前方にスペースを空けるという連動をみせていました。もともと、このチームでは田中がゲームメイクのキーになっていましたが、遠藤が加わることで、パスの出どころが2つになるため、対戦相手も的を絞りづらくなるように感じます。 ネガティブトランジッションの意識 ネガティブトランジッションの意識も高くなっていると感じました。先程の25分のシーン、最終的には酒井も攻撃に加わりクロスをゴール前に入れますが、ガーナのディフェンスにボールを奪われてしまいます(3アルハサンがボール保持)。しかし、その直後、上田、相馬、堂安が猛然とボール保持者にプレスをかけ、たまらずガーナのボール保持者は自陣深いところにおいやられ、ファジーなクリアをするのみとなりました。 いわゆる、クロップ監督の代名詞でもあるゲーゲンプレスということになりますが、ここは、数人のプレーに一貫性がみられたので、チームとしての決め事として取り組んでいる部分ではないかと推測しています。 ガーナボール保持時 日本がディフェンスに回った局面もみていきます。カメラの画角もあり、日本の最終盤の様子は想像ですが、基本的には高い位置から、守備を開始しています。遠藤、田中というセンターハーフの二人がハーフウェイラインを超えたところで相手の中盤の選手にタイトにマークにつくかたちです。 前半まとめ オーバーエイジ枠の選手とはあまり合わせていない中でも、久保や堂安はA代表でもプレーしている経験からか、特に問題ない、というより効果的な連携をみせていた印象です。 一方のガーナは、前半の失点シーン以降、個人技に頼るシーンが増え、1枚はがしかけるまではいきますが、日本の組織を崩すには至らず、結果的に一層日本ペースとなるような展開となっています。最終ラインもあまり統率がとれていなく、チームとしての完成度は低い印象でした。どうやら来日メンバーはベストメンバーではなかったようです。 なお、副音声で、前園さん、那須さんが解説をしていました。声のトーンこそ落ち着いていますが、トークの内容が熱いため、つい引き込まれてしまいました。何ならゴールシーンでも特段盛り上がらないのですが、それも、彼らが、この試合の位置づけを正しく理解してるからこそ、という印象をうけました。是非、他の試合でも聞いてみたい解説でした。 後半 後半も両チーム共に選手交代なし。そもそもGK含め交代選手が7人しかいないガーナは分かるとして、12人の控えメンバーを揃える日本が選手交代しなかったのは意外でした。前半に3 – 0と、流れを考えてもほぼ試合としては決まってしまった流れなので、モチベーションが下がる相手に対して、オーバーエイジを外しての試合を進めるという選択肢でもよかったのではないかと、個人的には思いました。 最終ラインからの縦パス オーバーエイジの吉田と、(実質的にはオーバーエイジ枠的な)富安というCBコンビが新たに加わったことになりますが、守備面の安定はもちろんですが、特に印象的だったのが、彼らからの縦に付けるパスです。3月のアルゼンチン戦では、個人的に以下を課題と感じていました。 サイドバックがオーバーラップしない、したとしても、タイイミングが遅い CBがサイドバックに横パス、あるいは、落ちてきたボランチに渡す これらによって、結果的にボールキープ率こそ高くなりますが、攻撃のスイッチを入れる機会が少なかった印象ですが、吉田、富安からは田中、遠藤を飛び越し、前線の選手につけるパスを出せていました。これにより、スムーズに前線にボールを運ぶことができ、相乗効果として、サイドバックもオーバーラップがしやすくなっているように感じました。 58分 日本選手交代 三苫、板倉 日本最初の選手交代は58分。センターバックと左サイドハーフ。富安はコンディションを考慮しての交代と思われますが、三苫はこのチームの重要なオプションとしての投入ということでしょう。 67分 日本選手交代 前田、食野 更に10分後にセンターフォワードと右サイドハーフを交代。前田は3月のアルゼンチン戦時には怪我だったこともあり、しばらくぶりの形。食野は三好との当確争いの中でのテストということでしょうか。 なお、ここまで、途中投入された三苫が前を向いてボールを持つシーンは1度位しかみられていません。先発出場させていないことから、このチームにおける三苫の役割は、「どうしても点が欲しいときの切り札」ということが考えられます。大量リードの本試合の展開だとそのテストとしては難しいのかもしれませんが、ある程度守備は放棄し、相手のサイドバックを大外にピン留めするような位置取りをして、確実にボールを受け、そこからドリブルを仕掛けるような形でもよかったように思えます。守備の意識があるのか、少し密集地帯に位置どることも多く、あまり効果的なパスを受けることができていなかったように感じます。おそらく、ここも個人の判断だと思いますが、特別な役割を担う選手を使う場合は、チームとして決め事を作ったほうがよいとは思います。 78分 日本選手交代 旗手 久保に代えて、旗手投入。3月のアルゼンチン戦では左サイドバックで出場していたため、前目のポジションでの動きを念の為見てみたいということでしょう。 84分 日本選手交代 古賀 最後の交代は左サイドバック。万が一のけが人が出た場合などを想定してのことだとは思いますが、残り5分での投入の意図は測りかねてしまいます。守備固めということでしょうか?はためには、三苫がうまくフィットできていないようにも見えたので、旗手を左サイドバックに回し、クラブチームでのコンビネーションを活かす、という修正でもよかったのではないかと思います。 まとめ OA枠の3人+富安の4人を加えたU24日本代表チームは、彼らの個々の能力の高さからくる守備の安定度だけではく、「困ったときの田中碧」というチームカラーを払拭できたのではないかと感じました。どうやら田中本人もなにかのインタビューで答えていたようですが、遠藤とのコンビによって、諸々の負担が減ったことにより、より自由にプレーできるようになったようです。ボールの出どころも、田中に加え、遠藤、更には最終ラインから、と増え、更には今まで物足りなかったサイドバックのオーバーラップも増え、攻撃の幅が広がったように感じます。オーバーエイジ枠として大迫を呼ぶという声も多くあったようですが、決定力よりゲームの組み立てを課題と感じていましたので、個人的にはこの3人の追加はかなりよいと感じました。 一方で、途中投入された選手については、以下に挙げるようなポイントが見られなかったので少し残念に思いました。大差が付き、日程もタイトななかという悪条件ではありますが、であれば、次回は先発や後半頭からの投入というところも見てみたいなと思いました。 三苫のドリブル 板倉の縦パス 食野の仕掛け 前田の裏抜け 前回Review リソース

Match Review 2021/3/30 「新記録となる大量得点の中で森保監督がテストしたかったこと」FIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選 兼AFCアジアカップ中国2023予選 モンゴル[MGL] vs 日本[JPN]

Home&Awayで行われているW杯アジア2次予選だが、新型コロナ感染症対策の状況を考慮し本来モンゴル開催の試合が日本での無観客試合に。自国開催のオリンピックで金メダルを目指すチームではなく、先日の韓国戦とこのモンゴル戦を優先した監督人事。実力差のある相手なのでメンバーさえ集められれば、どうあっても勝点3は固いはず。ただ勝点3を得るだけではないだろう本戦。なお、モンゴル代表メンバーのほとんどが昨年2020年9月ぶりの実戦というところも厳しい状況。日本代表のメンバーがヨーロッパやJリーグで強度の高い試合をこなしている状況を考えると、試合のインテンシティも違ったものになってくるだろう。 ■モンゴル 基本システム: 451 / 監督: ラスティスラブ・ボジク■日本 基本システム: 4231 / 監督: 森保 一 前半 日本オフェンスシステム、モンゴルディフェンスシステム 日本は631で守るモンゴルに対して、RSBインナーラップ+RSHサイドに張る、LSBオーバーラップ+LSH中に絞るという左右の選手の組み合わせによって変えてきている印象。ビルドアップでは、ボランチが降りてくることなく、CB2枚とボランチ2枚の合計4枚が定位置でビルドアップを開始する。 モンゴルオフェンスシステム、日本ディフェンスシステム 終始日本がボール保持する流れだが、下図少ないモンゴルのオフェンスシーンでは442で攻め込む形を見せる。とはいえ、サイドバックが上がるまでにボールロストしてしまう苦しい展開。 前半まとめ 戦前の予想通り実力差は歴然としたもの。9枚でディフェンスを固めるモンゴルに対して、僅かなスペースや、相手ディフェンスラインのギャップをつく、あるいは、サイド攻撃がきれいにハマったかたちで5得点。通常のW杯2次予選のアウェイ戦であれば、実力差があるものの、ピッチコンディションが悪かったり、気候が厳しかったりという部分に苦しむこともあるが、春先の日本での無観客開催ではそういう要素も皆無。U24の試合も踏まえて、A代表の今後のメンバーを絞っていく時期にある日本代表は、後半に十分テストできる環境が整ったといえる。試合そのものより、ベンチワークに注目したい後半となった。 後半 日本は4141にオフェンス変更、モンゴルは451のディフェンスに変更 日本は遠藤の1ボランチ南野・鎌田の2シャドーの形に変更。左サイドには浅野を投入。鎌田か南野が遠藤に近づきながらゲームを組み立てる。モンゴルは、前半の541から451に変更し、日本のパスの出しどころをケアするような意図を感じる修正で後半に臨む。 6点目のシーンで、闘莉王氏の解説「大迫の軸足がデイフェンスをブロックしている」は今まできにしていなかった着眼点。確かに、シュートの意識が強いと、もっとゴールに正対するような軸足の置き方になるはずだが、ボールトラップするまではゴールと直角に体をむけ、後ろからくるディフェンスからボールを隠している。大迫のポストプレーの強さの秘密のひとつかもしれない。 日本は稲垣を投入し2ボランチに戻す 4141での1ボランチは20分ほどでテスト完了というところか。感覚的には鎌田がより活きるシステムに思えた。ここでの変更は招集メンバーのテストの時間ということになりそう。Jリーグでも得点力の高さを見せている稲垣がボランチのメンバー争いに名乗りを上げられるか。中谷は3番目以降の序列がまだ定かではないCBで少ないチャンスを活かしたいところ。 稲垣は投入後、早速大迫のポストプレーの落としからゴールを決め、持ち味の得点力でのアピールに成功。 古橋を投入し、浅野の1トップ、大迫の2列めをテストする日本 後半頭から投入されるも、いまいち効果的なプレーができていなかった浅野を1トップの位置に、大迫を2列めに下げ、左サイドに古橋を入れる采配。 最終局面 まとめ 後半開始時点ではまだ保っていたモチベーションが、8失点目くらいで流石に切れてしまったモンゴル相手に日本は色々なテストを実施。いくつか感じ取れたテストと、個人的な評価は以下の通り。 浅野の左サイド:少しイマイチ感があった 古橋の左サイド:途中出場からでも2得点と存在感を発揮 遠藤の1ボランチ、2シャドー:鎌田、南野は中央で活きるため、効果的だった 浅野の1トップ、大迫シャドー:浅野の裏抜け、大迫の2列目での繋ぎ+裏抜けというオプションはよかった 中谷、畠中のCB:守備機会も少ないなかで、CKを献上してしまうなど、印象はよくないかも。後半頭から使ってあげたかった気もする。 日本代表の最多得点記録に加えクリーンシートということで、U24のアルゼンチンとの1戦とは、試合のインテンシティそのものが違ったとはいえ、LSBの小川もレギュラー争いに加わってくる活躍もあり、チーム内競争が活発になってきたという意味では、意味のある1戦だったように思う。 次戦は2ヶ月後の6月3日の対戦相手未定のキリンチャレンジカップからの3連戦。ヨーロッパリーグはシーズンオフに入るタイミングでもあり、休養を取らせる目的で国内組中心に臨む可能性もある。オリンピックチームへのオーバーエイジ枠を使うのか?使うなら誰を?というあたりも含め、今回のテスト結果を踏まえた次回のメンバー招集がどのようになるのか、楽しみが一つできた。

Match Review「田中碧=リアル松山くん を感じざるを得なかったキープ力とカバー力」国際親善試合 2021/3/29 日本U24[JPN] vs アルゼンチンU24[ARG]

Home&Homeの2nd Legともいうべき本戦。結果的には初戦の借りを倍返しに成功した日本。アルゼンチンもコンディションよいように見えた本戦だが、初戦を欠場していた田中碧の存在感が際立った。アルゼンチンも選手がかなり流動的なポジションをとりつつトリッキーな動きを見せた本戦を振り返る。 Lineup ディフェンスラインを入れ替えてきた日本。坂倉をボランチに上げた配置からは、板倉は本メンバーとして当確ながら、どこで使うかを測っているところか。町田、瀬古の両CBはセリエAのフォワードを抑えることができればよいアピールとなる。 前半 日本のオフェンスシステム、アルゼンチンのディフェンスシステム 日本は、2ボランチが斜めの位置になりつつ、ここが攻撃の起点となる。なお、両SBは大外をつかうのではなく、1つ内側のインナーレーンを使って、食野、相馬が大外を使う意図を感じる。アルゼンチンは、最終ラインを5バック気味に深く守る。このとき、5バックがかなり中央を固める布陣なので、日本としては両サイドにスペースが生まれる。田中→相馬というロングフィードから相馬が仕掛けるシーンが前半何度も見られる。 初戦に比べ、日本は板倉が飛び出す形を見せるなど、初戦の問題点を修正してきている印象を受ける。もちろんその背景には田中碧の抜群のボールキープ力あってこそ。その甲斐もあって、アルゼンチンは高い位置でディフェンスラインを設定しようとするが、徐々に押し下げられ結果的に図のような低い位置での5バックとなっている。 アルゼンチンのオフェンスシステム、日本のディフェンスシステム アルゼンチンは初戦RSBだった4デラフエンテを1つ上げた位置で起用してきた。2ボランチが縦関係になるのが特徴的。また、CFのガイチが2列めに降りてくる。ディフェンスからのポジティブトランジッションでは、サイドプレーヤーが単純にポジションを上げるのではなく、少しトリッキーに動くため、うまくボールがつながれば一気に最前線で数的優位を作れそうなシステム。日本はオーソドックスに442の形で3ラインを作るディフェンス。 前半まとめ 日本の17田中碧がアルゼンチン相手に2〜3人に囲まれてもボールロストしない。このピッチ上で1人格上感を出している。11久保も同じレフティの三好より、右利きの食野や相馬との方がスムーズにボールの受け渡しができているような印象を受ける。 後半 4トップ気味にオフェンスするアルゼンチン メンバー交代し、オフェンスシステムを変更したアルゼンチン。10バルガスが、時にボランチの位置でゲームメイクし、時にサイドに貼ってチャンスメーク、時にトップ下でスルーパスを狙うなど、より流動的なシステムとなった。7バレンスエラも左右を入れ替えるなど、うまく行かなかった前半の流れを変えるべく変化をつける。 アルゼンチンはディフェンスを4バックに アルゼンチンは後半からディフェンス時に4バックを敷き、中盤の人数を増やす。 アルゼンチンのポジティブトランジッションの動き 後半からアルゼンチンは攻守のシステムを変更するが、中々思うようにはいかない。試合を通じて最初のシュートを打つまでに60分以上かかってしまう。 オーソドックスな4231に変更するアルゼンチン エースのガイチを下げ、オーソドックスな4231に変更。すでに3点差となっているため、控え選手やシステムを試すモチベーションになっているのかも。 最終局面 日本は、旗手、三苫、中野を投入。田中、旗手というクラブでのチームメイトがいる中での三苫のプレーをこのチームで見てみたかったが、時間が少なすぎてそういう場面は見られなかった。この2戦を終えて、このチームとして、三苫がどう評価されたのかは気になるところ。 まとめ 同じチーム同士で中2日での連戦ではあるが、結果は真逆のようになる。サッカーの面白さや怖さがよく分かる。日本に関しては、CB2人はガイチを完全に抑えたと言ってもよいだろうし、板倉はCB起用より、ボールキープ力に長けた田中とのコンビを組むことで、初戦に比べ前向きのプレーが(若干リスクの高いプレーを選択しがちだったが)できていた。後ろが安定すれば、もともとタレント豊富な攻撃陣はよりのびのびとプレーでき、チャンスを作り出すことに成功。田中碧はキープ力だけでなく、自身が前線にボール供給したら、それで終わりではなく、その後にボールロストした際にはいち早くカバーリングするなど、戦術眼にも長けていることを証明。逆にアルゼンチンは、動きそのものは悪くなさそうだったが、細かなボール処理のミスなどが出てゲームのリズムを作ることができなかった。全体的に「前に前に」という姿勢が終始続いていたので、例えばリケルメのようなペースを変えられるゲームメーカーがいれば違った展開になったような気がする。いずれにせよ、この難しい状況のなかで来日して真剣な試合を開催してくれたことに感謝したい。

Match Review「修正できた左サイド、修正できなかった(しなかった)右サイド」20210326 国際親善試合 日本U24代表[JPN] vs アルゼンチンU24代表[ARG] (Japan U24 vs Argentina U24)

南米予選をトップ通過したアルゼンチンU24代表は、その前評判に違わぬ実力をみせつけた試合。本大会前の試合はこの日本戦しかない予定というアルゼンチンに対して日本は手を焼く。前日のA代表が快勝だったことも相まって、もどかしい展開のなか、前半の問題点を修正できた左サイドと修正できなかった右サイド。キープレーヤーの田中碧不在を強く感じてしまった本戦を振り返る。 2021/03/26 国際親善試合 日本U24代表 vs アルゼンチンU24代表 0 – 1 ■日本U24代表(横内 昭展):3421■アルゼンチンU24代表(フェルナンド・バティスタ):442 前半 日本はオフェンス時4231、ディフェンス時422となる。対するアルゼンチンもオフェンス時はワントップ気味の442、ディフェンス時442となる、ミラーゲームの展開。 日本のビルドアップ 日本はGK+CBでビルドアップを開始するが、アタッキングサードに攻め込めず、ボランチに戻す、以下の図のような状況に陥ることが多かった。ここまでSBもオーバーラップを仕掛ける場面もなく、ボランチも飛び出していかないため、明らかに前線の人数が不足している。 前線の選手もボールをもらいに下がってきて、自陣から攻め上がるような形もあった。注目の三苫が自陣でドリブルから状況を打開しようとするも、1人目かわしたとしても2人目3人目のところでボールロストしてしまい、カウンターを受けてしまうなど手詰まり感が否めない。このあたり、このチームの中心選手の一人でもある、出場停止中の田中碧がいれば前線に飛び出すなど変化をつけられるのではと思ってしまうので、その不在を感じてしまう。 アルゼンチンのビルドアップ 日本がビルドアップに苦しむ半面、アルゼンチンはCBが自身を持ってビルドアップを開始しているのが印象的。最悪CFのガイチにロングボールを蹴っておけば何とかなるというリスクマネジメントもできているのか、スムーズに回せている。解説でも話していたが、日本に比べパススピードが1段速いところもそのスムーズさにつながっているのだろう。 前半まとめ 昨日のA代表も原則同じフォーメーションなので、その比較という意味では日本は右サイドの攻撃に物足りなさを感じる。三好とそのフォローに来ることもある久保、いずれもレフティということもあり、中への切り返しからのインスイングのクロスやシュートというイメージがある。また、サイドバックに関して、LSBの旗手はハイライトにも残っている通り、数回攻撃参加していたが、A代表の山根に比べ、RSB菅原の攻撃参加が少なすぎる印象。チームの方針なのか、本人の判断なのかは不明だが、左サイドの三苫のドリブル突破と、右サイドの切り返しさえ気をつけていれば大怪我をしなさそうというアルゼンチンの考え方も見えてくる。 後半 前半の問題点2点について、、改善できた点、できなかった点 サイド攻撃が活かしきれない ビルドアップが停滞気味 スプリント開始のタイミングを改善したい右サイドバック 前半にも気になっていたRSBの攻撃参加が少ない点について、端的な場面があったので紹介したい。ハイライトにこそ残っていないが、三好が高い位置で前を向いてボールを保持するチャンスの場面。ここで、三好は最終的にPA内の角に切り替えしてのミドルシュートを狙うが枠を外してしまう。シュート打った瞬間菅原はPAの手前の位置(下図)にいる。三好のシュートブロックにいっているのがアルゼンチンのLSBなので、菅原がオーバーラップしかけることができていればシュートコースも広がっただろうし、菅原に渡してのクロスという選択肢も広がったはず。ゴール裏からのカメラのリプレイを見る限り、菅原のスプリントの開始が数秒早ければ下図の上の青線の位置にはいれたと思う。このあたり、月曜の第2戦でどうプレーするのかは注目したい。 左サイドバックが中央に入ることで変化をつける 一方のビルドアップについては改善が図られた。LSBの旗手がボランチの位置に入り、ボランチの渡辺が一つ前の位置をとることで左右非対称な布陣となり、アルゼンチンのRSHを無力化できているようにみえる。解説の中村憲剛さんが話していたが、技術などに加え「戦術眼を持っている」旗手ならではの修正力なのかもしれない。 アルゼンチンの守備戦術変更 アルゼンチンは65分ごろから1ボランチにして、4141のような形に守備陣形を変更。日本がサイドを広く使えだしてきているところもあるため、サイドのスペースを埋めに行くような修正と思われる。日本も同じタイミングで左サイドのLMF、LSBを2枚替え。相馬は内に絞ってボールを受け、その空いたスペースを古賀がオーバーラップするという展開をつくることに。三苫がサイドに張って、その内側を旗手が使うのと対称的な戦術。 最終盤にも多彩な攻め手を見せるアルゼンチン アルゼンチンはLSBである3バレンスエラがボールを回しながらインナーラップし中央へ。更にインサイドハーフの8コロンバットが、LWGのような位置に飛び出し、3バレンスエラからスルーパスを受ける。最終的に8コロンバットのクロスに飛びこんだのはLIHの17ゴンサレスの選手。後半もそろそろ終了間際というところながら、頭を使った攻め手を見せるアルゼンチン。金メダルを獲るということは、ここまでできてこそ、ということを感じさせられる。CFを囮につかいながら、頭を使った巧みな攻め手を見せる。時差のあるアウェイ戦で必ずしもコンディションよくないはずのなか、この最終盤でも惰性でプレーしないあたり、「金メダルを獲るチームとはこういうチームだ」と見せつけられる思い。 一方の日本はというと、2列目の選手が個人技でしかける展開が多く、チームとしての成熟度の低さを感じざるを得ない。 まとめ 得点こそ1対0と、惜敗と呼べるかもしれないが、印象としては完敗。久保や三苫の個人技術はもちろんこの試合でも際立っていたが、アルゼンチンは全員がそつなくスキルフルだった。加えて、試合の駆け引き(「プレスに来ているから、裏に出そう」「機を見てインナーラップしよう」等)や、何より対人(マークの相手をにらみつける、シュートブロックに対して間合いが近い)の強さなど、メッシやアグエロのころのようなメジャーネームは不在ながら「強豪国」とは何かというものを感じることができたのではないだろうか。海外で活躍する選手も多く存在するチームながら、根っこの部分でまだまだ世界のトップチームの常連とはなれていない現実を見せつけられた思いがある。アルゼンチンもコンディションを整えられ、キープレーヤーである田中碧が出場するだろう3日後の試合は、言い訳できない一戦となるはずなので、ある意味本大会の気持ちで優勝候補でもある相手チームに対して戦う姿をみてみたい。 もう1点気になったのが、A代表とU24の優先度。素人考えでは「3ヶ月後に迫った自国開催のオリンピック」は「1年半後のW杯」より優先すべきではないかと思う。それでも、監督はA代表戦を指揮し、U24メンバーでもある富安はA代表に招集。戦略レベルでの代表チームのマネジメントコンセプトがどうなのか聞いてみたいところ。 外部リソース JFA公式YouTube

Match Review 「現代表チームの欠かせないパーツとなったボランチ遠藤のボール奪取力とゲームメーク、新たな可能性を感じさせた山根のインナーラップ」20210325 国際親善試合 日本代表[JPN] vs 韓国代表[KOR] (Japan vs South Korea)

ソン・フンミンら主力を欠く韓国代表に対して、U24メンバを除けばほぼベストメンバー(レギュレーション的に招集できなかったフランスリーグでプレーする川島、長友、酒井を除く)で臨む日本代表の10年ぶりのA代表マッチは3-0と日本代表の快勝に終わった。終始日本代表のペースで進んだゲームの中でも、カタールW杯に向けたチーム作りの核となる要素が見えてきたので、整理しておきたい。 2021年3月25日 国際親善試合日本代表 vs 韓国代表 3 – 0 東京スタジアム 前半 日本のビルドアップ、韓国のディフェンス 日本代表のビルドアップはボランチ遠藤がで2CBの間に降りてき(サリーダし)て2CB+遠藤の3人で開始する。同時に両サイドバックが高い位置をとるが、以前のチームでみられていたような、「上がりすぎて出しどころがない」状況とはならず、韓国代表のサイドハーフとサイドバックの間の絶妙なポジションを取れていることでビルドアップがスムーズに進んでいた印象。 なお、注目していた日本右サイドの攻撃だが、先制点のシーンでは、山根のインナーラップの流れから得点していたが、川崎ではおなじみのシーンも、日本代表でインナーラップをみたのはあまり記憶にない。代表チームは複雑な戦術を導入するのは時間的にも難しいなかだが、選手それぞれが戦術を持ち込むかたちでチームの引き出しを増やしていくのは現実的な成長戦略にも思える。一方、伊東が深くえぐってクロスを上げるシーンが少なかったのが印象に残った。チームとしての方針なのか、山根とのコンビネーションの部分なのか、いずれにせよ開始直後に効果的だった縦への突破をもっとみせてもよかったようにも思える。 韓国のビルドアップ、日本のディフェンス 一方の韓国についても、ボランチのウォン ドゥジェが日本の遠藤同様、最終ラインに降りてきてビルドアップを開始する。日本は442の形でディフェンスするが、後ろ8枚が比較的低い位置でライン間を短くしガッチリブロックをつくるところからディフェンスを開始していた。このとき、機を見て日本の6遠藤が韓国の中盤(18ナム テヒや5チョン ウヨンあたり)にプレスをかけ、ボール奪取するところからのショートカウンターという形がいくつかあった。2015シーズンのプレミアリーグ:レスターのエンゴロ・カンテのようにも見えた。 ※ちなみに、両チームとも、背番号が視認しづらいユニフォーム配色のためところどころ選手の配置が間違っている可能性が高い。 後半 5レーンを広く活かした日本の攻撃 後半に入っても引き続き攻勢の日本。75分ごろのシーンでは、5バックでディフェンスラインを固める韓国に対し、前線の5レーンを広く使うことで手詰まりを防いでいた。ここで攻撃のタクトを振っていたのはボランチ遠藤。このあたりの振る舞いは同じ遠藤でも遠藤保仁を感じさせる。 最終局面 運動量のおちてくる70分過ぎから、古橋、浅野というスピードスターを投入。浅野が韓国の最終ラインを押し下げ、古橋が左右のサイドからしかけるかたちがうまく回る。脇坂、江坂がうまく攻撃のバランスをとっていたのも後押ししていた。 まとめ 日本代表としては、点差以上に決定機を作っており、キム・スンギュの好セーブがなければあと2点くらい入っていても不思議ではない展開。不動の両SB(酒井、長友)不在のなか、LSBの佐々木は経験もあり安定感のあるプレーで存在感をしめし、初出場の山根はクラブでの活躍そのままに、日本代表では珍しいインナーラップの流れからのゴールをするなど、RMFの伊東と共に日本の右サイドから多くチャンスメークし、今後も代表の常連になるだろう活躍をみせた。昨年存在感をましたボランチの遠藤は、アジアレベルでは頭一つ抜けた対人の強さを見せつけ、中盤でのボール奪取からのショートカウンターや、ゲームメークにおいても、かつての遠藤保仁のようにときに縦への推進力をみせ、ときにテンポを落とすなど存在感を更に増した。クラブでの出場機会が少ない大迫については、得点こそなかったが質の高いポストプレーはやはりこのチームの顔といえる。 一方の韓国代表は2CB+GKによるビルドアップから攻撃をスタートするも、アタッキングサードから先をどう崩すのかに手を焼いていた印象。ソン・フンミンという絶対的エースやファン・ウィジョといった実績ある選手が不在のチームは苦しい戦いとなった。唯一キム・スンギュは後半から登場し、数多くスーパーセーブみせるなど、監督に大きくアピールできたのではと思う。

[Match Preview]三苫を加えた日本代表U24がどのような布陣を敷き、バージョンアップするのか? 国際親善試合 日本U24代表[JPN] vs アルゼンチンU24代表[ARG]

どうなることやら東京オリンピックという状況ではあるが、それでも2021年夏の開催に順延されて以降、大会の開催そのものについて中止や延期の決定がされない以上準備を進める各国のオリンピック代表メンバー。日本に関してはそもそも開催国枠のための予選免除ということもあり、個人的には過去のオリンピック代表に比べ盛り上がりにはどうしてもかけてしまうなかだが、タレントは豊富なこの世代。中2日でのHome&”Home”という変則でのアルゼンチンU24との2連戦。チームとしては1年2ヶ月振りとなる試合の見どころを探ってみたい。 日本U24代表スケジュール JFAのサイトによると、オリンピックに向けてのスケジュールは以下のとおり。2連戦のテストマッチを3回実施し、本大会に望む格好。その1回目はアルゼンチンU24代表。 http://www.jfa.jp/national_team/u24/schedule_result/2021.html 開催日 試合名 対戦チーム 会場 3/26(金) SAISON CARD CUP 2021 アルゼンチン 東京スタジアム 3/29(月) SAISON CARD CUP 2021 アルゼンチン 北九州スタジアム 6/5(土) 国際親善試合 未定 ベスト電器 スタジアム 6/12(土) 国際親善試合 未定 豊田スタジアム 7/12(月) キリンチャレンジカップ2021 未定 長居球技場 7/17(土) キリンチャレンジカップ2021 スペイン ノエビアスタジアム神戸 7/22(木)-8/7(土) 第32回オリンピック競技大会 未定 東京 JAF公式サイトより 日本チーム J1でスタメンを張る選手だけでなく、海外で活躍する選手も交えたメンバー。海外勢も招集できたということで、ほぼベストの布陣になるのではないだろうか。ただし、Jリーグで得点を重ねている前田大然の負傷離脱は残念。 11: 久保建英 本来は1つ下の世代カテゴリーではあるが、このチームの顔といって過言ではない。クラブチームでは移籍先との相性がなかなか噛み合わない今シーズンだが、このチームでは自身を中心としたチームづくりとなるはずなので、ぜひのびのびとプレーしてもらいたい。本大会含め、自身が「どういうプレースタイルを得意としているか」をこのチームでのプレーで改めて周囲に表現する良い機会になるはず。来シーズンの所属先を占う意味でも、出場時間の少ない所属チームでのプレーより、このチームでのプレーのほうが重要ではないかと、個人的にはみている。 7: 三苫薫 文句なしに、いまJリーグで最も注目されている選手。特にこの1年での成長ぶりは凄まじく、前回このチームではそこまでインパクトを残していた印象はないが、この試合からは久保と並んで、チームのストロングの一つになることは間違いない。 フォーメーション 昨年1月までの活動のなかでは3バック1トップのかたちで挑むことが多かったようだが、昨年末の合宿を経た今回はどうなっているだろうか。素人考えでは、三苫を活かすならLWGに三苫、RWGに久保というかたちを想像してしまう。初戦は田中碧が出場停止ではあるが、三苫、田中、旗手と好調フロンターレから選出されているメンバーが中心になりそうではあるので、フロンターレ同様433の布陣で行く可能性もある。まずは、ボール保持時、守備時それぞれでどのような布陣となるのかを楽しみにしたい。 アルゼンチンメンバー オリンピック代表は若手の有望選手を知ることができることも楽しみのひとつ。アルゼンチンのこのチームで重要そうな選手をtransfermaekt.comから確認する。比較的アルゼンチンリーグ所属の選手も多いため、モチベーションは高くチームに合流しているようにも感じる。 https://www.transfermarkt.com/argentinien-u23/startseite/verein/52540 9: アドルフォ・ガイチ セリエAのベネベント所属のCF。マーケットバリューはこのチームで最も高い9mEURO。なお、日本チームで最も高いのは久保の15mEURO、ついで板倉の3mEURO。セリエAでは交代出場がメインながら5試合で2ゴールと結果を出している。 https://www.transfermarkt.com/adolfo-gaich/profil/spieler/608469 19: アグスティン・ウルシ アルゼンチンリーグのCA Banfield所属のウインガー。LWGが主戦場の模様。 https://www.transfermarkt.com/agustin-urzi/profil/spieler/636441 5: サンティアゴ・アスカシバル ブンデスリーガのヘルタ所属のボランチ。マーケットバリューは6mEURO。2年前は25mEUROの価値があったようだが、シュトゥットガルトから移籍した昨シーズン以降は出場機会に恵まれていないようではある。 https://www.transfermarkt.com/santiago-ascacibar/profil/spieler/423436 フォーメーション 下記サイトの情報を基にすると、4231または442の形となるチームとのこと。9ガイチの中央と、左サイドの19ウルシ辺りが攻撃の軸になってきそう。