Match Review 2021/3/30 「新記録となる大量得点の中で森保監督がテストしたかったこと」FIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選 兼AFCアジアカップ中国2023予選 モンゴル[MGL] vs 日本[JPN]

Home&Awayで行われているW杯アジア2次予選だが、新型コロナ感染症対策の状況を考慮し本来モンゴル開催の試合が日本での無観客試合に。自国開催のオリンピックで金メダルを目指すチームではなく、先日の韓国戦とこのモンゴル戦を優先した監督人事。実力差のある相手なのでメンバーさえ集められれば、どうあっても勝点3は固いはず。ただ勝点3を得るだけではないだろう本戦。なお、モンゴル代表メンバーのほとんどが昨年2020年9月ぶりの実戦というところも厳しい状況。日本代表のメンバーがヨーロッパやJリーグで強度の高い試合をこなしている状況を考えると、試合のインテンシティも違ったものになってくるだろう。 ■モンゴル 基本システム: 451 / 監督: ラスティスラブ・ボジク■日本 基本システム: 4231 / 監督: 森保 一 前半 日本オフェンスシステム、モンゴルディフェンスシステム 日本は631で守るモンゴルに対して、RSBインナーラップ+RSHサイドに張る、LSBオーバーラップ+LSH中に絞るという左右の選手の組み合わせによって変えてきている印象。ビルドアップでは、ボランチが降りてくることなく、CB2枚とボランチ2枚の合計4枚が定位置でビルドアップを開始する。 モンゴルオフェンスシステム、日本ディフェンスシステム 終始日本がボール保持する流れだが、下図少ないモンゴルのオフェンスシーンでは442で攻め込む形を見せる。とはいえ、サイドバックが上がるまでにボールロストしてしまう苦しい展開。 前半まとめ 戦前の予想通り実力差は歴然としたもの。9枚でディフェンスを固めるモンゴルに対して、僅かなスペースや、相手ディフェンスラインのギャップをつく、あるいは、サイド攻撃がきれいにハマったかたちで5得点。通常のW杯2次予選のアウェイ戦であれば、実力差があるものの、ピッチコンディションが悪かったり、気候が厳しかったりという部分に苦しむこともあるが、春先の日本での無観客開催ではそういう要素も皆無。U24の試合も踏まえて、A代表の今後のメンバーを絞っていく時期にある日本代表は、後半に十分テストできる環境が整ったといえる。試合そのものより、ベンチワークに注目したい後半となった。 後半 日本は4141にオフェンス変更、モンゴルは451のディフェンスに変更 日本は遠藤の1ボランチ南野・鎌田の2シャドーの形に変更。左サイドには浅野を投入。鎌田か南野が遠藤に近づきながらゲームを組み立てる。モンゴルは、前半の541から451に変更し、日本のパスの出しどころをケアするような意図を感じる修正で後半に臨む。 6点目のシーンで、闘莉王氏の解説「大迫の軸足がデイフェンスをブロックしている」は今まできにしていなかった着眼点。確かに、シュートの意識が強いと、もっとゴールに正対するような軸足の置き方になるはずだが、ボールトラップするまではゴールと直角に体をむけ、後ろからくるディフェンスからボールを隠している。大迫のポストプレーの強さの秘密のひとつかもしれない。 日本は稲垣を投入し2ボランチに戻す 4141での1ボランチは20分ほどでテスト完了というところか。感覚的には鎌田がより活きるシステムに思えた。ここでの変更は招集メンバーのテストの時間ということになりそう。Jリーグでも得点力の高さを見せている稲垣がボランチのメンバー争いに名乗りを上げられるか。中谷は3番目以降の序列がまだ定かではないCBで少ないチャンスを活かしたいところ。 稲垣は投入後、早速大迫のポストプレーの落としからゴールを決め、持ち味の得点力でのアピールに成功。 古橋を投入し、浅野の1トップ、大迫の2列めをテストする日本 後半頭から投入されるも、いまいち効果的なプレーができていなかった浅野を1トップの位置に、大迫を2列めに下げ、左サイドに古橋を入れる采配。 最終局面 まとめ 後半開始時点ではまだ保っていたモチベーションが、8失点目くらいで流石に切れてしまったモンゴル相手に日本は色々なテストを実施。いくつか感じ取れたテストと、個人的な評価は以下の通り。 浅野の左サイド:少しイマイチ感があった 古橋の左サイド:途中出場からでも2得点と存在感を発揮 遠藤の1ボランチ、2シャドー:鎌田、南野は中央で活きるため、効果的だった 浅野の1トップ、大迫シャドー:浅野の裏抜け、大迫の2列目での繋ぎ+裏抜けというオプションはよかった 中谷、畠中のCB:守備機会も少ないなかで、CKを献上してしまうなど、印象はよくないかも。後半頭から使ってあげたかった気もする。 日本代表の最多得点記録に加えクリーンシートということで、U24のアルゼンチンとの1戦とは、試合のインテンシティそのものが違ったとはいえ、LSBの小川もレギュラー争いに加わってくる活躍もあり、チーム内競争が活発になってきたという意味では、意味のある1戦だったように思う。 次戦は2ヶ月後の6月3日の対戦相手未定のキリンチャレンジカップからの3連戦。ヨーロッパリーグはシーズンオフに入るタイミングでもあり、休養を取らせる目的で国内組中心に臨む可能性もある。オリンピックチームへのオーバーエイジ枠を使うのか?使うなら誰を?というあたりも含め、今回のテスト結果を踏まえた次回のメンバー招集がどのようになるのか、楽しみが一つできた。

Match Review 「現代表チームの欠かせないパーツとなったボランチ遠藤のボール奪取力とゲームメーク、新たな可能性を感じさせた山根のインナーラップ」20210325 国際親善試合 日本代表[JPN] vs 韓国代表[KOR] (Japan vs South Korea)

ソン・フンミンら主力を欠く韓国代表に対して、U24メンバを除けばほぼベストメンバー(レギュレーション的に招集できなかったフランスリーグでプレーする川島、長友、酒井を除く)で臨む日本代表の10年ぶりのA代表マッチは3-0と日本代表の快勝に終わった。終始日本代表のペースで進んだゲームの中でも、カタールW杯に向けたチーム作りの核となる要素が見えてきたので、整理しておきたい。 2021年3月25日 国際親善試合日本代表 vs 韓国代表 3 – 0 東京スタジアム 前半 日本のビルドアップ、韓国のディフェンス 日本代表のビルドアップはボランチ遠藤がで2CBの間に降りてき(サリーダし)て2CB+遠藤の3人で開始する。同時に両サイドバックが高い位置をとるが、以前のチームでみられていたような、「上がりすぎて出しどころがない」状況とはならず、韓国代表のサイドハーフとサイドバックの間の絶妙なポジションを取れていることでビルドアップがスムーズに進んでいた印象。 なお、注目していた日本右サイドの攻撃だが、先制点のシーンでは、山根のインナーラップの流れから得点していたが、川崎ではおなじみのシーンも、日本代表でインナーラップをみたのはあまり記憶にない。代表チームは複雑な戦術を導入するのは時間的にも難しいなかだが、選手それぞれが戦術を持ち込むかたちでチームの引き出しを増やしていくのは現実的な成長戦略にも思える。一方、伊東が深くえぐってクロスを上げるシーンが少なかったのが印象に残った。チームとしての方針なのか、山根とのコンビネーションの部分なのか、いずれにせよ開始直後に効果的だった縦への突破をもっとみせてもよかったようにも思える。 韓国のビルドアップ、日本のディフェンス 一方の韓国についても、ボランチのウォン ドゥジェが日本の遠藤同様、最終ラインに降りてきてビルドアップを開始する。日本は442の形でディフェンスするが、後ろ8枚が比較的低い位置でライン間を短くしガッチリブロックをつくるところからディフェンスを開始していた。このとき、機を見て日本の6遠藤が韓国の中盤(18ナム テヒや5チョン ウヨンあたり)にプレスをかけ、ボール奪取するところからのショートカウンターという形がいくつかあった。2015シーズンのプレミアリーグ:レスターのエンゴロ・カンテのようにも見えた。 ※ちなみに、両チームとも、背番号が視認しづらいユニフォーム配色のためところどころ選手の配置が間違っている可能性が高い。 後半 5レーンを広く活かした日本の攻撃 後半に入っても引き続き攻勢の日本。75分ごろのシーンでは、5バックでディフェンスラインを固める韓国に対し、前線の5レーンを広く使うことで手詰まりを防いでいた。ここで攻撃のタクトを振っていたのはボランチ遠藤。このあたりの振る舞いは同じ遠藤でも遠藤保仁を感じさせる。 最終局面 運動量のおちてくる70分過ぎから、古橋、浅野というスピードスターを投入。浅野が韓国の最終ラインを押し下げ、古橋が左右のサイドからしかけるかたちがうまく回る。脇坂、江坂がうまく攻撃のバランスをとっていたのも後押ししていた。 まとめ 日本代表としては、点差以上に決定機を作っており、キム・スンギュの好セーブがなければあと2点くらい入っていても不思議ではない展開。不動の両SB(酒井、長友)不在のなか、LSBの佐々木は経験もあり安定感のあるプレーで存在感をしめし、初出場の山根はクラブでの活躍そのままに、日本代表では珍しいインナーラップの流れからのゴールをするなど、RMFの伊東と共に日本の右サイドから多くチャンスメークし、今後も代表の常連になるだろう活躍をみせた。昨年存在感をましたボランチの遠藤は、アジアレベルでは頭一つ抜けた対人の強さを見せつけ、中盤でのボール奪取からのショートカウンターや、ゲームメークにおいても、かつての遠藤保仁のようにときに縦への推進力をみせ、ときにテンポを落とすなど存在感を更に増した。クラブでの出場機会が少ない大迫については、得点こそなかったが質の高いポストプレーはやはりこのチームの顔といえる。 一方の韓国代表は2CB+GKによるビルドアップから攻撃をスタートするも、アタッキングサードから先をどう崩すのかに手を焼いていた印象。ソン・フンミンという絶対的エースやファン・ウィジョといった実績ある選手が不在のチームは苦しい戦いとなった。唯一キム・スンギュは後半から登場し、数多くスーパーセーブみせるなど、監督に大きくアピールできたのではと思う。