Match Review「田中碧=リアル松山くん を感じざるを得なかったキープ力とカバー力」国際親善試合 2021/3/29 日本U24[JPN] vs アルゼンチンU24[ARG]

Home&Homeの2nd Legともいうべき本戦。結果的には初戦の借りを倍返しに成功した日本。アルゼンチンもコンディションよいように見えた本戦だが、初戦を欠場していた田中碧の存在感が際立った。アルゼンチンも選手がかなり流動的なポジションをとりつつトリッキーな動きを見せた本戦を振り返る。 Lineup ディフェンスラインを入れ替えてきた日本。坂倉をボランチに上げた配置からは、板倉は本メンバーとして当確ながら、どこで使うかを測っているところか。町田、瀬古の両CBはセリエAのフォワードを抑えることができればよいアピールとなる。 前半 日本のオフェンスシステム、アルゼンチンのディフェンスシステム 日本は、2ボランチが斜めの位置になりつつ、ここが攻撃の起点となる。なお、両SBは大外をつかうのではなく、1つ内側のインナーレーンを使って、食野、相馬が大外を使う意図を感じる。アルゼンチンは、最終ラインを5バック気味に深く守る。このとき、5バックがかなり中央を固める布陣なので、日本としては両サイドにスペースが生まれる。田中→相馬というロングフィードから相馬が仕掛けるシーンが前半何度も見られる。 初戦に比べ、日本は板倉が飛び出す形を見せるなど、初戦の問題点を修正してきている印象を受ける。もちろんその背景には田中碧の抜群のボールキープ力あってこそ。その甲斐もあって、アルゼンチンは高い位置でディフェンスラインを設定しようとするが、徐々に押し下げられ結果的に図のような低い位置での5バックとなっている。 アルゼンチンのオフェンスシステム、日本のディフェンスシステム アルゼンチンは初戦RSBだった4デラフエンテを1つ上げた位置で起用してきた。2ボランチが縦関係になるのが特徴的。また、CFのガイチが2列めに降りてくる。ディフェンスからのポジティブトランジッションでは、サイドプレーヤーが単純にポジションを上げるのではなく、少しトリッキーに動くため、うまくボールがつながれば一気に最前線で数的優位を作れそうなシステム。日本はオーソドックスに442の形で3ラインを作るディフェンス。 前半まとめ 日本の17田中碧がアルゼンチン相手に2〜3人に囲まれてもボールロストしない。このピッチ上で1人格上感を出している。11久保も同じレフティの三好より、右利きの食野や相馬との方がスムーズにボールの受け渡しができているような印象を受ける。 後半 4トップ気味にオフェンスするアルゼンチン メンバー交代し、オフェンスシステムを変更したアルゼンチン。10バルガスが、時にボランチの位置でゲームメイクし、時にサイドに貼ってチャンスメーク、時にトップ下でスルーパスを狙うなど、より流動的なシステムとなった。7バレンスエラも左右を入れ替えるなど、うまく行かなかった前半の流れを変えるべく変化をつける。 アルゼンチンはディフェンスを4バックに アルゼンチンは後半からディフェンス時に4バックを敷き、中盤の人数を増やす。 アルゼンチンのポジティブトランジッションの動き 後半からアルゼンチンは攻守のシステムを変更するが、中々思うようにはいかない。試合を通じて最初のシュートを打つまでに60分以上かかってしまう。 オーソドックスな4231に変更するアルゼンチン エースのガイチを下げ、オーソドックスな4231に変更。すでに3点差となっているため、控え選手やシステムを試すモチベーションになっているのかも。 最終局面 日本は、旗手、三苫、中野を投入。田中、旗手というクラブでのチームメイトがいる中での三苫のプレーをこのチームで見てみたかったが、時間が少なすぎてそういう場面は見られなかった。この2戦を終えて、このチームとして、三苫がどう評価されたのかは気になるところ。 まとめ 同じチーム同士で中2日での連戦ではあるが、結果は真逆のようになる。サッカーの面白さや怖さがよく分かる。日本に関しては、CB2人はガイチを完全に抑えたと言ってもよいだろうし、板倉はCB起用より、ボールキープ力に長けた田中とのコンビを組むことで、初戦に比べ前向きのプレーが(若干リスクの高いプレーを選択しがちだったが)できていた。後ろが安定すれば、もともとタレント豊富な攻撃陣はよりのびのびとプレーでき、チャンスを作り出すことに成功。田中碧はキープ力だけでなく、自身が前線にボール供給したら、それで終わりではなく、その後にボールロストした際にはいち早くカバーリングするなど、戦術眼にも長けていることを証明。逆にアルゼンチンは、動きそのものは悪くなさそうだったが、細かなボール処理のミスなどが出てゲームのリズムを作ることができなかった。全体的に「前に前に」という姿勢が終始続いていたので、例えばリケルメのようなペースを変えられるゲームメーカーがいれば違った展開になったような気がする。いずれにせよ、この難しい状況のなかで来日して真剣な試合を開催してくれたことに感謝したい。

Match Review「修正できた左サイド、修正できなかった(しなかった)右サイド」20210326 国際親善試合 日本U24代表[JPN] vs アルゼンチンU24代表[ARG] (Japan U24 vs Argentina U24)

南米予選をトップ通過したアルゼンチンU24代表は、その前評判に違わぬ実力をみせつけた試合。本大会前の試合はこの日本戦しかない予定というアルゼンチンに対して日本は手を焼く。前日のA代表が快勝だったことも相まって、もどかしい展開のなか、前半の問題点を修正できた左サイドと修正できなかった右サイド。キープレーヤーの田中碧不在を強く感じてしまった本戦を振り返る。 2021/03/26 国際親善試合 日本U24代表 vs アルゼンチンU24代表 0 – 1 ■日本U24代表(横内 昭展):3421■アルゼンチンU24代表(フェルナンド・バティスタ):442 前半 日本はオフェンス時4231、ディフェンス時422となる。対するアルゼンチンもオフェンス時はワントップ気味の442、ディフェンス時442となる、ミラーゲームの展開。 日本のビルドアップ 日本はGK+CBでビルドアップを開始するが、アタッキングサードに攻め込めず、ボランチに戻す、以下の図のような状況に陥ることが多かった。ここまでSBもオーバーラップを仕掛ける場面もなく、ボランチも飛び出していかないため、明らかに前線の人数が不足している。 前線の選手もボールをもらいに下がってきて、自陣から攻め上がるような形もあった。注目の三苫が自陣でドリブルから状況を打開しようとするも、1人目かわしたとしても2人目3人目のところでボールロストしてしまい、カウンターを受けてしまうなど手詰まり感が否めない。このあたり、このチームの中心選手の一人でもある、出場停止中の田中碧がいれば前線に飛び出すなど変化をつけられるのではと思ってしまうので、その不在を感じてしまう。 アルゼンチンのビルドアップ 日本がビルドアップに苦しむ半面、アルゼンチンはCBが自身を持ってビルドアップを開始しているのが印象的。最悪CFのガイチにロングボールを蹴っておけば何とかなるというリスクマネジメントもできているのか、スムーズに回せている。解説でも話していたが、日本に比べパススピードが1段速いところもそのスムーズさにつながっているのだろう。 前半まとめ 昨日のA代表も原則同じフォーメーションなので、その比較という意味では日本は右サイドの攻撃に物足りなさを感じる。三好とそのフォローに来ることもある久保、いずれもレフティということもあり、中への切り返しからのインスイングのクロスやシュートというイメージがある。また、サイドバックに関して、LSBの旗手はハイライトにも残っている通り、数回攻撃参加していたが、A代表の山根に比べ、RSB菅原の攻撃参加が少なすぎる印象。チームの方針なのか、本人の判断なのかは不明だが、左サイドの三苫のドリブル突破と、右サイドの切り返しさえ気をつけていれば大怪我をしなさそうというアルゼンチンの考え方も見えてくる。 後半 前半の問題点2点について、、改善できた点、できなかった点 サイド攻撃が活かしきれない ビルドアップが停滞気味 スプリント開始のタイミングを改善したい右サイドバック 前半にも気になっていたRSBの攻撃参加が少ない点について、端的な場面があったので紹介したい。ハイライトにこそ残っていないが、三好が高い位置で前を向いてボールを保持するチャンスの場面。ここで、三好は最終的にPA内の角に切り替えしてのミドルシュートを狙うが枠を外してしまう。シュート打った瞬間菅原はPAの手前の位置(下図)にいる。三好のシュートブロックにいっているのがアルゼンチンのLSBなので、菅原がオーバーラップしかけることができていればシュートコースも広がっただろうし、菅原に渡してのクロスという選択肢も広がったはず。ゴール裏からのカメラのリプレイを見る限り、菅原のスプリントの開始が数秒早ければ下図の上の青線の位置にはいれたと思う。このあたり、月曜の第2戦でどうプレーするのかは注目したい。 左サイドバックが中央に入ることで変化をつける 一方のビルドアップについては改善が図られた。LSBの旗手がボランチの位置に入り、ボランチの渡辺が一つ前の位置をとることで左右非対称な布陣となり、アルゼンチンのRSHを無力化できているようにみえる。解説の中村憲剛さんが話していたが、技術などに加え「戦術眼を持っている」旗手ならではの修正力なのかもしれない。 アルゼンチンの守備戦術変更 アルゼンチンは65分ごろから1ボランチにして、4141のような形に守備陣形を変更。日本がサイドを広く使えだしてきているところもあるため、サイドのスペースを埋めに行くような修正と思われる。日本も同じタイミングで左サイドのLMF、LSBを2枚替え。相馬は内に絞ってボールを受け、その空いたスペースを古賀がオーバーラップするという展開をつくることに。三苫がサイドに張って、その内側を旗手が使うのと対称的な戦術。 最終盤にも多彩な攻め手を見せるアルゼンチン アルゼンチンはLSBである3バレンスエラがボールを回しながらインナーラップし中央へ。更にインサイドハーフの8コロンバットが、LWGのような位置に飛び出し、3バレンスエラからスルーパスを受ける。最終的に8コロンバットのクロスに飛びこんだのはLIHの17ゴンサレスの選手。後半もそろそろ終了間際というところながら、頭を使った攻め手を見せるアルゼンチン。金メダルを獲るということは、ここまでできてこそ、ということを感じさせられる。CFを囮につかいながら、頭を使った巧みな攻め手を見せる。時差のあるアウェイ戦で必ずしもコンディションよくないはずのなか、この最終盤でも惰性でプレーしないあたり、「金メダルを獲るチームとはこういうチームだ」と見せつけられる思い。 一方の日本はというと、2列目の選手が個人技でしかける展開が多く、チームとしての成熟度の低さを感じざるを得ない。 まとめ 得点こそ1対0と、惜敗と呼べるかもしれないが、印象としては完敗。久保や三苫の個人技術はもちろんこの試合でも際立っていたが、アルゼンチンは全員がそつなくスキルフルだった。加えて、試合の駆け引き(「プレスに来ているから、裏に出そう」「機を見てインナーラップしよう」等)や、何より対人(マークの相手をにらみつける、シュートブロックに対して間合いが近い)の強さなど、メッシやアグエロのころのようなメジャーネームは不在ながら「強豪国」とは何かというものを感じることができたのではないだろうか。海外で活躍する選手も多く存在するチームながら、根っこの部分でまだまだ世界のトップチームの常連とはなれていない現実を見せつけられた思いがある。アルゼンチンもコンディションを整えられ、キープレーヤーである田中碧が出場するだろう3日後の試合は、言い訳できない一戦となるはずなので、ある意味本大会の気持ちで優勝候補でもある相手チームに対して戦う姿をみてみたい。 もう1点気になったのが、A代表とU24の優先度。素人考えでは「3ヶ月後に迫った自国開催のオリンピック」は「1年半後のW杯」より優先すべきではないかと思う。それでも、監督はA代表戦を指揮し、U24メンバーでもある富安はA代表に招集。戦略レベルでの代表チームのマネジメントコンセプトがどうなのか聞いてみたいところ。 外部リソース JFA公式YouTube

[Match Preview]三苫を加えた日本代表U24がどのような布陣を敷き、バージョンアップするのか? 国際親善試合 日本U24代表[JPN] vs アルゼンチンU24代表[ARG]

どうなることやら東京オリンピックという状況ではあるが、それでも2021年夏の開催に順延されて以降、大会の開催そのものについて中止や延期の決定がされない以上準備を進める各国のオリンピック代表メンバー。日本に関してはそもそも開催国枠のための予選免除ということもあり、個人的には過去のオリンピック代表に比べ盛り上がりにはどうしてもかけてしまうなかだが、タレントは豊富なこの世代。中2日でのHome&”Home”という変則でのアルゼンチンU24との2連戦。チームとしては1年2ヶ月振りとなる試合の見どころを探ってみたい。 日本U24代表スケジュール JFAのサイトによると、オリンピックに向けてのスケジュールは以下のとおり。2連戦のテストマッチを3回実施し、本大会に望む格好。その1回目はアルゼンチンU24代表。 http://www.jfa.jp/national_team/u24/schedule_result/2021.html 開催日 試合名 対戦チーム 会場 3/26(金) SAISON CARD CUP 2021 アルゼンチン 東京スタジアム 3/29(月) SAISON CARD CUP 2021 アルゼンチン 北九州スタジアム 6/5(土) 国際親善試合 未定 ベスト電器 スタジアム 6/12(土) 国際親善試合 未定 豊田スタジアム 7/12(月) キリンチャレンジカップ2021 未定 長居球技場 7/17(土) キリンチャレンジカップ2021 スペイン ノエビアスタジアム神戸 7/22(木)-8/7(土) 第32回オリンピック競技大会 未定 東京 JAF公式サイトより 日本チーム J1でスタメンを張る選手だけでなく、海外で活躍する選手も交えたメンバー。海外勢も招集できたということで、ほぼベストの布陣になるのではないだろうか。ただし、Jリーグで得点を重ねている前田大然の負傷離脱は残念。 11: 久保建英 本来は1つ下の世代カテゴリーではあるが、このチームの顔といって過言ではない。クラブチームでは移籍先との相性がなかなか噛み合わない今シーズンだが、このチームでは自身を中心としたチームづくりとなるはずなので、ぜひのびのびとプレーしてもらいたい。本大会含め、自身が「どういうプレースタイルを得意としているか」をこのチームでのプレーで改めて周囲に表現する良い機会になるはず。来シーズンの所属先を占う意味でも、出場時間の少ない所属チームでのプレーより、このチームでのプレーのほうが重要ではないかと、個人的にはみている。 7: 三苫薫 文句なしに、いまJリーグで最も注目されている選手。特にこの1年での成長ぶりは凄まじく、前回このチームではそこまでインパクトを残していた印象はないが、この試合からは久保と並んで、チームのストロングの一つになることは間違いない。 フォーメーション 昨年1月までの活動のなかでは3バック1トップのかたちで挑むことが多かったようだが、昨年末の合宿を経た今回はどうなっているだろうか。素人考えでは、三苫を活かすならLWGに三苫、RWGに久保というかたちを想像してしまう。初戦は田中碧が出場停止ではあるが、三苫、田中、旗手と好調フロンターレから選出されているメンバーが中心になりそうではあるので、フロンターレ同様433の布陣で行く可能性もある。まずは、ボール保持時、守備時それぞれでどのような布陣となるのかを楽しみにしたい。 アルゼンチンメンバー オリンピック代表は若手の有望選手を知ることができることも楽しみのひとつ。アルゼンチンのこのチームで重要そうな選手をtransfermaekt.comから確認する。比較的アルゼンチンリーグ所属の選手も多いため、モチベーションは高くチームに合流しているようにも感じる。 https://www.transfermarkt.com/argentinien-u23/startseite/verein/52540 9: アドルフォ・ガイチ セリエAのベネベント所属のCF。マーケットバリューはこのチームで最も高い9mEURO。なお、日本チームで最も高いのは久保の15mEURO、ついで板倉の3mEURO。セリエAでは交代出場がメインながら5試合で2ゴールと結果を出している。 https://www.transfermarkt.com/adolfo-gaich/profil/spieler/608469 19: アグスティン・ウルシ アルゼンチンリーグのCA Banfield所属のウインガー。LWGが主戦場の模様。 https://www.transfermarkt.com/agustin-urzi/profil/spieler/636441 5: サンティアゴ・アスカシバル ブンデスリーガのヘルタ所属のボランチ。マーケットバリューは6mEURO。2年前は25mEUROの価値があったようだが、シュトゥットガルトから移籍した昨シーズン以降は出場機会に恵まれていないようではある。 https://www.transfermarkt.com/santiago-ascacibar/profil/spieler/423436 フォーメーション 下記サイトの情報を基にすると、4231または442の形となるチームとのこと。9ガイチの中央と、左サイドの19ウルシ辺りが攻撃の軸になってきそう。